故郷を離れ、仕事に追われる日々を送る友がいる。
一方で、地元に残り、変わらぬ暮らしを積み重ねている者もいる。
立場は違えど、互いの歩む道は、決して断たれてはいない。
よく考えてみれば、
故郷に友がいるということは、安心が形を持ったものなのだと思う。
何かあったとき、
「ちょっと家の様子を見てくれないか」
そんな一言を、ためらいなく託せる存在がいる。
それは信頼であり、年月を重ねて培われた絆である。
また、特別な用事がなくとも、
「あの家は元気にやっているだろうか」
「最近、灯りはついているだろうか」
そんな何気ない気遣いが、自然と胸に浮かぶ。
それは、故郷に“人”がいるからこそ生まれる思いだ。
友がいるということは、
見えないところで、互いの暮らしを支え合っているということ。
声をかけずとも、近くにいるという事実そのものが、
心の支えになっている。
故郷とは、場所だけを指す言葉ではない。
そこに、顔の浮かぶ友がいるからこそ、
帰る理由が生まれ、安心が続いていく。
離れて暮らしていても、
地元に残っていても、
故郷に友ありて――
それだけで、人は少し強く、少しやさしくなれるのだと思う。
今日もどこかで、
同じ空の下、友はそれぞれの暮らしを生きている。
それを思えることが、何よりの幸せなのかもしれない。

